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長野日報社

幸運呼ぶハートの鉄平石 通る人に無病息災を 長野県諏訪市

アーク諏訪屋外エレベーター前にあるハート型の鉄平石と鮎澤史朗さん。写真奥がJR上諏訪駅

幸運を呼ぶハート型の鉄平石を知っていますか―。諏訪市の特産品「鉄平石」を敷き詰めたJR上諏訪駅東口の複合商業施設「アーク諏訪」前の歩道に、赤みを帯びたハート型の小さな鉄平石がある。2019年5月の開所当時、ほとんど気付く人はいなかったが、高校生や地域住民の間で「幸運を呼びそう」と静かな話題に。調べてみると、諏訪の鉄平石を60年余り扱ってきた石工職人の技術と無病息災を願う優しい心があった。

■幸運呼びそう 静かな話題に

鉄平石の歩道はアーク諏訪屋外エレベーター前にあり、不整形な大小の鉄平石を敷き詰める「乱形張り」が施されている。ハート型は縦、横12センチほどで、長さ約40メートルの歩道に10個が等間隔に配置され、中央には4個を組み合わせた四つ葉のクローバーもある。

諏訪清陵高校2年の男子生徒(17)=岡谷市=は「去年の冬に友だちと見つけてうれしくなった。とてもいいアイデアだと思います」と語る。

アーク諏訪は鉄骨造り3階建て。スーパー「ツルヤ上諏訪店」や市が設置した公共スペース「駅前交流テラスすわっチャオ」、放送大学長野学習センター、ドラッグストアや100円ショップ、整形外科や小児科の診療所、エルシーブイなどが入居している。

建物は民間会社「諏訪駅前開発」が発注し、スワテック建設(諏訪市)など3社の共同企業体が施工。歩道の鉄平石は藤森鉄平石(同)が担当した。同社営業部長の細田正彦さんに聞くと、ハート型の鉄平石は1人の石工職人の提案から生まれたという。

職人の名前は鮎澤史朗さん(77)。岡谷市川岸出身で14歳で藤森鉄平石に入社。諏訪市郊外の福沢山採石場で鉄平石を薄く剥がしたり、切り分けたりする技術を学び、25歳の時に独立する。「諏訪銘石技術工業」の看板を掲げ、藤森鉄平石の仕事を優先的に請け負い、全国各地で公園の遊歩道や住宅の玄関などに鉄平石を張る仕事を続けてきた。

ハート型の鉄平石は約20年前、三重県伊勢市の伊勢神宮近くにある地下道の壁に「おまじない」のつもりで1個入れた。ハート型の「猪目」に魔よけや火伏の言い伝えがあると知り、施主が希望する現場に入れるように。これまで40~50カ所に施工し、県内の公共施設だとやまびこ公園(岡谷市)にもあるという。

■自在に操る 数少ない職人

鮎澤さんは鉄平石を自在に操る数少ない職人だ。厚さ3センチの鉄平石を手でしっかり固定しながら、タガネでハート型に細かく整え、30分ほどで1個を仕上げる。ハート型が「嫌み」にならないよう試行錯誤を重ね、今の大きさと形にたどり着いた。

鮎澤さんは「ハートが話題にならないのが『面白い』と思っていた。みんなが気付くようだとつまらないし、嫌みになる。ここを通る人の無病息災のつもりだが、見た人がいいように感じてほしい。似た石は出るが、平らで品質が高いのが諏訪の鉄平石。全国に知られた諏訪のシンボル、長野県の特産品を感じてもらえたら」と願っている。

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