5月の降ひょうで被害を受けた果物を地元で活用してもらおうと、鶴岡市櫛引地域の果樹園で18日、現地視察会が開かれ、市内の飲食店関係者らが生産者から被害状況を聞くとともに、収穫間近のリンゴや和ナシ、加工品を試食、活用方策を探った。来月4日(土)から「くしびき☆えくぼフルーツフェア」として市内の約20店舗が櫛引地域の被害果を使ったお菓子や料理などを提供、生産者を支援していく。

降ひょう被害を受けた齋藤さんの果樹園の果実
櫛引地域は果物栽培が盛んな「フルーツ王国」。5月25日の降ひょうではリンゴ、和ナシ、洋ナシを中心に、果実の表面が傷つくなど大きな被害を受けた。フェアは、櫛引の観光果樹園などでつくる櫛引地域産業振興プロジェクト推進協議会(会長・澤川宏一産直あぐり社長)と、飲食店とのつながりが深い鶴岡食文化創造都市推進協議会(会長・皆川治市長)が連携し、櫛引地域の生産者と地元の実需者をつなぐ形で実施する。
視察会は両推進協がフェアに向け、被害の実態を知ってもらおうと、同市三千刈のインフィニファーム=齋藤司代表(58)=で実施。フェアに賛同する市内の飲食店や菓子店、加工業者ら12人が参加した。
約4ヘクタールでリンゴや和ナシ、洋ナシなどを作っている齋藤代表は「95%が被害を受けた。早期に被害果を取れば来年の花芽に影響し、放置すれば木が疲れるので、木を守るには例年通り育て収穫するしかないが、被害果の活用は課題。形がいびつなものもあるが、味は良いので、ぜひ使ってほしい」と訴えた。
参加者は、表皮が点々と傷ついた樹上のリンゴを視察するとともに、収穫間近の被害果や、ジュースやジャムなど加工品を試食した。
ピクルス専門店「beni.」を経営する松本典子さん(38)=同市文園町=は「被害がこんなに深刻だとは知らなかった。昨年からリンゴのピクルスを作り好評なので、今年はより積極的に使い、少しでも生産者の力になりたい」、洋菓子店「ル・メランジュ」の金野文隆社長(52)=同市みどり町=は「普通のリンゴと変わりなく使えると思う。アップルパイなどに使い、協力したい」と話した。
フェアでは今のところ、櫛引地域の果樹農家3軒が参加。11月下旬までの間、参加店の注文に基づいてリンゴ、ナシを集め週1回、市本庁舎で参加店に販売する。価格は、地元産直の基準に沿って正規品の3分の2(1キロ300円)程度を予定。参加店では統一のポップを作り、被害果を使ったメニューを宣伝、消費者にも支援を訴える。

視察会で飲食店関係者らに被害の実態を訴える齋藤さん(左)
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